しりとり
「五文字しりとりしようぜ。『かたおもい』」
「『いいんです』」
彼女は目を伏せつつ、まるで何事でもないかのように頭文字を繋げる。
もう何度も繰り返してきたやり取りだったから、俺の言いたいことなんてお見通しだったのだろう。そして俺も、彼女の答えは既に分かりきっていた。
「……好きなくせに」
「……六文字になってるよ。清水くんの負けね」
ただ静かに微笑み立ち去る後姿に、口元を歪めずにはいられなかった。
「どの口が言ってんだ、俺」